You-Yu通信

武雄市議会議員 朝長勇のYou(あなた)とYu(わたし:勇)を結ぶ場所。武雄の笑顔を増やすため、聞き、学び、考え、そして行動します。ご意見はtomonagaisamu@po.saganet.ne.jpまで。
<   2017年 07月 ( 3 )   > この月の画像一覧
幼児教育無償化について
6月28日 日本経済新聞 私見卓見
慶応義塾大学教授(教育経済学) 赤林英夫氏 
「幼児教育「無償化」は意味がない」 記事要約

・政府は幼児教育の無償化を早期に実現する意向
・しかし、目的が曖昧で何が達成できるのかほとんど議論されていない。
・「人への投資は収益率が高い」「国際的に見劣りする公的教育費」という大義名分だけが先行。
・幼児教育に公的資金を投下する政策の根拠としてヘックマン氏の研究がある。
・しかし、これは日本と米国の社会的背景の違いを無視している。
・米国は先進国の中で就学前教育(米国は4歳まで)の普及が最も遅れている国である。
・2014年OECD統計では、4歳で幼児教育施設に通っている比率は米国:68%に対し日本:95%
・3歳児では米国:39%に対し日本:69%
・日本の4,5歳児は就園率を上昇させる余地がほとんどない。
・従って、日本で4,5歳児の幼児教育を無償化することは保護者が行ってきた私的支出を税金で肩代わりすることに過ぎない。
・肩代わりによる社会への直接のリターンはゼロに近い ⇒ 公的資金投入の効果はない

・では無償化は教育格差の解消になるのか?
・現行制度で保育料は低所得者世帯では減免措置があるので貧困世帯では逆に恩恵がない。
・一方、保育料を支払っていた高所得世帯にはゆとりができ、塾に通わせる支出を増やせる。
・その結果、教育支出の格差は広がる可能性が高い。
・日本では一律の無償化は必要ないどころかさらなる格差の拡大をもたらす可能性すらある
さらに危惧されるのは定員拡大や保育の質向上のための財源が削られること

・必要があるとすれば、4,5歳で保育所に通っていない5%の子どもへの支援と、3歳以下の子どもの教育と保育の充実である。ここに焦点を当てた政策でなければ意味がない。


[PR]
by yu_isamu | 2017-07-13 10:29
土地活用問題
日本経済新聞 平成29年7月11日記事「私見卓見」要約
「土地所有者 登記簿改革で把握急げ」
富士総研経済研究所主席研究員 榎並利博

・近年、土地所有者が分からないことに伴う問題が相次いでいる
  誰が水源地を買い占めているのか分からない、震災復興が進まないなど

・水源地に関しては森林法の改正により森林所有者に届け出を義務付けた。

・復興事業では復興特区法改正により手続き完了前に事業開始を可能にした。


・法改正でその場しのぎをしているが根本的な解決は先送りされている。

・公共工事や地籍調査、民間事業でも所有者不明では事業が進められない。

・固定資産税が徴収できない、放置された土地が荒廃するなどの問題が発生。

・農林地の集約・集積でも有効利用が進まない。


・所有者不明の原因は不動産登記簿にある ⇒ 相続手続きがされていない相続未登記の土地が数多くある

・その理由としては
   ①登記手続きが煩雑で費用がかかる
   ②管理不能となった土地の放棄ができない
   ③相続権者の間で調整ができない    などがある。

・だがこの問題の根っこには
   「登記簿に記載がなくとも、真の所有者の権利が保護される」
  という我が国独特の考え方がある。

・この問題を覆すのは難しいといわれるが、だからといって放置することは、所有者(相続者)の調査という膨大な負担を後世に付け回すことになる

・一般市民の間でも遺言との絡みなどで所有者を確定できず、相続権のこじれで訴訟が増えている

・国は新たな制度で土地利用を促す考えだが、今こそマイナンバーを活用して所有者を確実に特定すべきである。

・方法としては
  ①短期的には登記簿に実質的な公信力を与え、登記を信じて取引したものを保護する制度を整備する。
  ②同時に長期的には憲法や民放(物権法)の議論を行い、登記簿の法的位置づけを根本から見直す。
など立法府が主導的な役割を果たすことが望まれる。

[PR]
by yu_isamu | 2017-07-11 11:08
ベーシックインカムについて
ベーシックインカムについて新聞記事の要点まとめ

日本経済新聞 「やさしい経済学」
津田塾大学教授 萱野稔人 氏の連載記事:「ベーシックインカムを考える」の要約
 
(1)平成29年7月5日 「特徴は『無条件に誰にでも支給」

・昨年6月、スイスで国民投票の結果否決(賛成票は23%)
・スイスで提唱された内容は、
  大人:毎月2500スイスフラン(約28万円)、子ども:毎月625スイスフラン(約7万円)
・収入や年齢などに関係なく「無条件に誰にでも」というのがこれまでの社会保障とは異なる最大の特徴

(2)平成29年7月6日  「財源の確保が大きな壁」

・当然のことながら財源についての疑問がつきまとう
・すべての日本国民に一人当たり毎月15万円支給すると
   15万円×1億2千万人×12ヶ月で総額216兆円の財源が必要
・日本の2016年度の社会保障給付額は予算ベースで118.3兆円
 (これは年金、医療、介護、福祉など社会保障分野全体の支出の総額)
・つまりすべての社会保障を無くして全額を充当したとしても全く足りない。
・仮にすべての社会保障費をベーシックインカムに回せば支給額は国民一人当たり毎月8万円強
 (この額では基本的な生活を賄えるとはいえない)
・社会保障をベーシックインカムに一本化すれば行政コストを節約できるという主張もあるが、その額は多く見積もっても2兆円程度(国民一人当たりにすると約1400円しかない)

(3)平成29年7月7日  「一律給付、問題解決には非力」

・すべての社会保障費をベーシックインカムに回した場合、国民一人当たり毎月8万円強となるが、
 その代わり、医療費などは全額自己負担になり大きな病気やけがなどがあれば一気に吹っ飛んでしまう。

・では仮に医療保険制度をそのままにしておくとすれば医療費が37.9兆円であるから残りは80.4兆円
・この財源をベーシックインカムに回すとすれば支給額は毎月5万6千円となる。
・ここから言えることはすべての国民に一律にお金を支給する手法は社会保障の手段としては非常に効率が悪いということ。
・社会保障制度は多くの人から徴収した保険料や税金を医療を必要とする人に集中して投下するからこそ効果を発揮する⇒これは子育て、介護、貧困対策など他の社会保障にも当てはまる。
・一律の現金給付は一見シンプルで効率的にも見えるが、実際は必要としている人に集中して投下する方が効果的である ⇒ これがベーシックインカムが抱える根本的な弱点

(4)平成29年7月10日  「労働から解放、尊厳回復」

・ベーシックインカムの最大の特徴は「無条件性」:基本的な生活を成立させるために必要なお金をすべての人に無条件に給付するという点にある。⇒この点で従来の社会保障と明確に区別される。
・したがってベーシックインカムに対して出される最大の問題もこの「無条件性」についてということになる。
 端的に言えば、多くの収入や資産がある人にまで現金を支給する必要があるのか?ということ
・この疑問に対する推進派の主張は、「ベーシックインカムは貧困対策のためだけでなく、人々を労働から解放し、人間の尊厳を回復するためのものである。」というもの。
・つまり、どんなに嫌な仕事でも生活のためには働かなくてはいけない、という状態から脱することができるということであり、これが「労働からの解放」という意味。
・さらにその結果、人々は自分や社会にとって本当に意味があると思える仕事だけをすることができるようになる。⇒ これが「尊厳の回復」
・この「労働からの解放による尊厳の回復」こそがベーシックインカムの最大の理念
・単なる貧困対策を越えた社会変革の試みでもあるということを踏まえた議論が必要となる

(5)平成29年7月11日  「労働から解放」望ましいか疑問」

・ベーシックインカムが目指すのは「労働からの解放」であり、貧困対策ではない。
・問題の本質は「労働からの解放(働きたくなければ働かなくて良い)」が本当に望ましいものなのかということ。
・推進派は過労によるうつや自殺から逃れられると主張。またそれによりいわゆるブラック企業も淘汰されるとも。
・しかし、過労やブラック企業などの問題はベーシックインカムの導入とは関係なく無くしていくべき問題であり、ベーシックインカムを導入しなければそれらの問題を解決できないとすればそれ以前に社会の改革が必要である。
・推進派はまた、本当に有意義だと思えることに時間を使えると主張するが、それは個人レベルで見れば望ましいことのように聞こえる。
・しかし、それで勤労意欲が維持できるかは完全に未知数。
・社会の維持のために最低限必要な労働があることは否定できない。
・推進派は社会に本当に必要な労働ならば、人々はボランティアや社会貢献などを通じて行うはずだと主張する。
・この主張は人々の善意の自発性を過度に評価しているのではないかという疑問が残る。

(6)平成29年7月12日  「賃金上昇、弊害も発生」

・ベーシックインカムは人々を労働から解放することで賃金を上昇させる、といわれる。
・理由は、人手不足になればつらい仕事でも働いてもいいと思える水準まで賃金が上がらざるを得ないから
・本当にそうか?例えば介護の仕事で考えてみる。
・ベーシックインカムが実現すればさらに深刻な人手不足に陥るはず。
・そのとき介護職の賃金は上昇するのか?
・介護職の賃金の引き上げは、今の仕組みでは政府が介護給付を増額することで可能となる。
・しかし、社会保障給付費をベーシックインカムに回してしまえば政府に財源は残っていない。
・社会保障給付費118.3兆円は一人当たり毎月8万円強を支給することですべてなくなる。
・一方、毎月8万円では高額な利用料を払えるはずはない。
・払えるのは多くの資産を持つ一部の高齢者のみになる
・結果として、介護職の賃金が上がったとしても、サービスを利用できない高齢者が大量に発生することになる。
・これでは社会保障としての意味がない。
・結局、財源をベーシックインカムに回すのではなく政府が介護給付を増額して介護職の賃金があがるように集中的に使う方がいいということになってしまう。
・ここにも薄く広く支給することの非効率性が現れてくる。

(7)平成29年7月13日  「AIによる「労働からの解放」に注目」

・ベーシックインカムをめぐる議論は失業率が高まると活発化する傾向がある
・現在、欧州で議論が盛んな背景には若者の高い失業率がある。
・日本でもリーマンショック後の2009-2010年にかけて議論が盛り上がった(当時の失業率は5%超)

・最近日本で再び注目され始めたが、その背景にはAI(人工知能)により失業者が増えるのではないかという問題意識がある(人間の仕事を奪ったAIからどのように税を徴収するかということが真面目に議論されるほど)。

・なぜベーシックインカムに対する関心と失業に対する問題意識が結びついているのか?
・そこには「失業の増加が社会保障への意識を高めるから」という以上の必然性がある。
・失業率が高止まりしているということは「少ない労働力で社会が維持できているということでもある」(少なくとも推進派はそう考える)。
・つまり高い失業率は、そんなに多くの人が働かなくても社会を維持できる状況を反映していると考えられる。
・今後起こるかもしれないAIによる失業率上昇についても同様でありこれがまさに「労働からの解放」である。
・ベーシックインカムにより「働きたくなければ働かなくてもよい」という状況を目指す理由の根底にあるのは、「これからの時代、人間は労働から解放されるべきである」という理念である。
・その理念が失業の増加に対する問題意識と共振するのである。

(8)平成29年7月14日  「「労働からの排除」を固定化」

・AIが発達して人間の仕事を代替するようになれば人間はあまり働かなくてよくなるかもしれない。
・欧州のいくつかの国で失業率が高止まりしている状況は、人々がそれほど働かなくても生活や社会が維持される歴史的段階に到達したことを示しているのかも知れない。

・しかし、ベーシックインカムが目指す「労働からの解放」は人類にとって本当に「解放」なのか?
・失業率が高止まりするのは「働きたくても働けない」人々があふれているということ。
・つまり「労働から排除された」人が大量に存在するということ。
・ベーシックインカムはこの「労働からの排除」を決して解決することはできない。

・推進派は、基本所得が保証されるのだから賃労働にこだわらず好きなことをすればいい、と反論する。
・しかし、「働きたい」という願望は賃金が支払われる仕事に就くことによってのみ実現される。
・「お金をあげるから仕事はあきらめろ」というのは「労働からの排除」を固定化する。
・これでは「解放」とは言えない。
・だとすれば人間や社会にとって意味のある活動にきちんと賃金や手当が支払われるように、経済政策や社会投資に予算を使った方が良いのではないか。

終わり



[PR]
by yu_isamu | 2017-07-10 09:40


by yu_isamu
プロフィールを見る
画像一覧
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧